第1話 ぶぅとんとんのおねだり
ぶぅとんとん「maam!サックスが欲しいよ。」
maam「どうしてサックスが欲しいの?」
ぶぅとんとん「ぶぅとんとんの音なんだよ。」
maam「サックスなんて、編めないなぁ…。ムリムリ…。」
ぶぅとんとん「……。」
しばらくして、ぶぅとんとんはサックスのような形のあみぐるみを見かけた。
でも、それはやっぱりサックスじゃなかったし、完成することもなかった…。
ぶぅとんとん「ぶう…。」
幸せなことって、突然やってくるんだなって思った。
その日、maamの手の中にあったものは、年季の入った、でも、一目見て秀逸の、とびきりのアルトサックスだった。
maam「素敵な作家さんに頼んでつくってもらったんだよ。」
ぶぅとんとん「maam!ありがとう。作家さん!ありがとう。ぶぅ〜!」
maam「でも、ぶぅとんとん。サックス吹けるの?」
ぶぅとんとん(下を向いて)「ぶぅーっ…。」
それからの毎日、森の住人たちは大変。
♪ぶぶぶー、ぶぶっぶー、ぶぶー♪
気のいい森の住人たちだったけど、ぶぅとんとんは吹くのをやめちゃった…。
森を出て、街中を歩いて、街を出て、こんなに遠くまで来て…。
やっと見つけた!
ここなら吹ける!
♪ぶぶぶー、ぶぶぶぶー♪
あなたの家の近くの川原に、ぶぅとんとんがいたら、そっと見守ってあげて下さいね。
第2話 ぶぅとんとんに足りなかったもの
今日も練習熱心なぶぅとんとん。
♪ぶっぶぶー ぶ ぶーぶー♪
ずいぶんうまくなったようです。
おやおや? 遠くから興味深げに見つめる一団が…。
「どうする?」
「がまんできないよね。」
「体が動いちゃうもんね。」
らっかたんたち、ぶぅとんとんの前でダンスを
始めました。
でも、なんかのれてない…。
「これじゃ、おどれないよぉ〜。」
らっかたん「おまえ、いい音出してるけど、
リズム感ないぞ!」
ぶぅとんとん「リズム?」
らっかたん「ん?だからぁ、ずんちゃかずんちゃ♪ って
やつだよ。」
ぶぅとんとん「?」
らっかたん「教えてやるから、一緒にやってみな!」
♪ずんちゃかずんちゃ♪
らっかたん「そうじゃないってばー!」
夢中になった時間があっという間に過ぎたあと、
ぶぅとんとんはすっかりリズム感を身につけていました。
らっかたん「さあ、吹いてくれよ。」
ぶぅとんとん「うん!」
♪ぶっぶぶー ぶ ぶーぶー♪
ぶぅとんとんの演奏をバックに、らっかたんたち、軽快にダンシング。
らっかたん「これだよ!ぶぅとんとん!」